実録柳川組の戦闘

昭和53年(1978年)、著者は仁義なき戦いで有名な飯干晃一。徳間書店より出版された。

三代目山口組を絶縁になった殺しの軍団柳川組。昭和53年の出版なので、まだ田岡一雄も生きていた頃に出された本である。柳川次郎の生い立ちから、山口組に正式加入するまでの柳川一派の迷走期、伝説の8人での鬼頭組への殴りこみ。今の時代絶対に誕生しえない当時の柳川組について詳しく書かれている。時代背景は戦後から昭和40年代までで、現在の価値観から見ると、ケンカの原因からしても異質に感じてしまうが、愚連隊として派生した柳川一派が他のヤクザへ侵略戦争を繰り返し、山口組加入後には更に膨張した。柳川組に欠かせない谷川康太郎についても詳しく書かれてあり、彼の狂気とも言えるケンカ魂は人間の域を超えていると感じる。

柳川組は山口組の歴史から見ても特別な戦闘集団で、唯一無二の組織であったと言える。巻末には10ページ以上に渡り谷川康太郎と飯干晃一の対談が収録され、興味深い谷川の思考や行動を知る事が出来る。