やくざ外伝 柳川組二代目 小説・谷川康太郎

平成13年(2001年)、著者はヤクザについての書物で有名な猪野 健治。ちくま文庫より出版された。

「通れるだけの細い道をあけてください。いやと言われるなら大きな岩を動かしますよ」と言ったのは谷川康太郎である。本名は康東華といい、殺しの軍団柳川組の先頭に立って、各地に侵攻していった人物。その谷川に焦点をあて、小説調に書かれた書籍である。谷川は終戦後の民族差別から這い上がり、伝説の戦闘部隊の中心人物となった。当時は伝統的な博徒組織が絶対にしない事を、愚連隊上がりで型破りな谷川は率先してやってきた。斬った張っただけでなく、革新的な面も多く持っていた。今のヤクザが、当たり前のようにシノギにしているスタイルも、谷川がしてきた事がベースになっている事も多い。柳川組の二代目を継いでから、最後に初代柳川次郎と相談し、解散を決意するまで細かく書かれている。

柳川組を解散し絶縁になってからも、多くの現役ヤクザが谷川康太郎には一目置いていたという。堅気になった谷川に、本人と知らずケンカを吹っかけた現役ヤクザを袋叩きにした事もある。それでも何の問題にもならなかった。そういう大阪の伝説的人物、谷川康太郎について深く知る事が出来る書籍である。