激動の1750日

平成2年(1990年)、志茂田景樹の「首領を継ぐのは俺だ」を原作に、中島貞夫監督で中井貴一を主演に製作された、山一抗争をモチーフにした映画。

当初原作名通り「首領を継ぐのは俺だ」としてチラシも刷り上っていたが、五代目山口組々長・渡辺芳則がタイトルに難色を示し土壇場で変更になったと言われている。山一抗争そのままのストーリー展開で、ざっくりと山一抗争を知るには丁度いい映画。役どころも実在の人物そのままで、中井貴一は渡辺芳則をモデルにしている。他には中条きよしは宅見勝、萩原健一は竹中正久、中尾彬は小田秀臣を演じている。一和会は夏八木勲が山本広で、渡瀬恒彦が加茂田重政といったところだが、劇中渡瀬は自殺を遂げるが、実際の加茂田重政は自殺していない。また中井貴一演じる渡辺芳則の若い者が、墓前で射殺されるが実際は竹中組の者である。煩雑さを避けるため、採用したいエピソードを役どころに乗っけていくのは、実録映画によくある手段である。

「悲しきヒットマン」が一人物に焦点を当てたのに対してこの作品は、山一抗争全体を捉えていてストーリーも分りやすい。ただ山一抗争で最も戦果を上げた竹中組や竹中武の設定がないのは残念。抗争終結後脱退し、山口組から攻撃を受けていた最中の映画という事もあり仕方ないところか・・・
いずれにしろ山一抗争を知るには欠かせない映画に違いない。