極道の品格 山口組四代目暗殺の首謀者 石川裕雄の闘い

日本のヤクザ社会の中で最も大きな事件と言っても過言ではない四代目山口組々長・竹中正久暗殺事件。その竹中暗殺事件の首謀者として逮捕され、無期懲役の判決を受けて今も旭川刑務所に服役中の石川裕雄を取材したノンフィクション。

石川の極道としての思考や信念。北山組時代の事件や渡米中の暮らしなど石川の多岐に渡る経歴は興味深い。学生時代にまで遡り事件後無期懲役の判決を受け服役するまでの人間石川裕雄の人生が書かれている。事件から30年経ち当時と今ではヤクザの世界もすっかり様変わりしたが、今でも系列に関係なく石川という人物を高く評価する古いヤクザは数多くいる。

石川が娑婆にいた頃はまだ暴対法もなく、ヤクザにとっても牧歌的な時代だった。彼が成し遂げた竹中暗殺は大きな事件だったが、その事件の大きさだけでなく、石川裕雄という人物そのものが稀有な存在であり、並みのヤクザには決して真似の出来ない所作を残している。事件の裁判でも最後まで一点のブレもなく、己の信念を貫いた侍のような人物である。

竹中正久組長の暗殺はなぜ起こったのか。どのようにして行われたのか。山口組における重大な歴史の1ページを深く掘り下げたこの本は貴重な一冊である。