役職

よく週刊誌などで「山口組のナンバーツーを逮捕」などの表現で報道されますが、山口組本家ではナンバー何位まであるのでしょうか?一般的にヤクザは序列にこだわりますが、通常どのように序列が決まっていくのでしょうか。盃関係についての項で、基本的な盃関係について説明しましたが、ここでは一般的な山口組系の組織での役付けについて解説します。いわゆる肩書きについての解説です。

執行部

どこまでを執行部とするか、席次についても組によって色々ありますが、あくまでも一般的な組織の役付けやポストについての解説です。とりあえずマスコミ表現はいったん置いといて、まずは山口組系では執行部と表現されているものを解説します。

図で説明します。

舎弟・顧問 - コピー

関西の慣わしとして組織の中心にまず「若頭」という役があります。若頭は若中の中から選ばれトップに位置し、若衆の代表です。一般家庭で言うところの長男坊ですが、一番の古株である必要はありません。すべての役の選任に言える事ですが、明確な選考基準はありません。通常親分の独断で決める事が出来ます。しかし若頭に就任するのは、ヤクザとして器量や人望などそれなりの人物が就任し、未熟な人物が就く事はまずありません。また若頭には親分の跡取りという意味合いもあります。そういう事からマスコミではナンバーツーと表現されているようです。
そしてその若頭を補佐する役が若頭補佐です。次期若頭も若頭補佐の中から選ばれる事が多いです。

そして若頭の次に位置するのが「本部長」です。本部長は通常、若頭補佐よりも上に位置し、何らかの理由で若頭のポストが空いた場合、本部長から若頭に昇格する事もあります。また若頭と同じように本部長補佐を置く組織もあります。五代目山口組には副本部長と言う役があり、二代目吉川組々長・野上哲男が就いていましたが、六代目になって副本部長と言う役はなくなりました。

そして若中の代表である若頭と同じように、舎弟の代表として「舎弟頭」という役があり、舎弟頭は一般的には代貸し(ダイガシ)と呼ばれます。だいたい舎弟は執行部から距離を置いたポストですが、舎弟頭は執行部に入ります。また舎弟頭補佐という役もありますが、これは通常執行部には入りません。

ここまでの「若頭」「本部長」「舎弟頭」を三役と呼び、どの組織においてもこの三つのポストにはその組の重要な人物が就任し、この三役を中心に執行部を構成するのが一般的となっています。そしてそれぞれの補佐がそれに準じる事になります。

ただし若頭補佐は執行部に入りますが、本部長、舎弟頭それぞれの「補佐」が執行部に入るかどうかは組によって差があります。また代行というポストを置く場合もあり、収監中などその役を代行します。六代目山口組では高山若頭の収監に合わせて、統括委員長というポストが新設され、高山若頭の役目を極心連合会々長・橋本弘文が代行する事になりました。

顧問・相談役

組織によっては顧問や相談役を置く事があります。

ではどのような人物が顧問や相談役になるのでしょう。
六代目山口組で言うと顧問は章友会の石田章六会長です。石田章六は三代目田岡一雄時代から本家の直系組長で、司忍組長よりも本来はかなり先輩に当たります。代替りしていく過程で新しい体制や役職が決められる訳ですが、新組長から特に業界でのキャリアや人物が認められている場合、顧問や相談役に就きます。ただし六代目山口組としての活動の中心は執行部にあり、組織全体に対してはあまり発言権はありません。

組の活動で多忙を極める執行部に対して、顧問や相談役は隠居に近く普段わりと自由な身分でもあります。盃の関係については、主に舎弟盃になりますが盃なしの顧問や相談役という事もあります。隠居と言っても業界での実績や顔の広さでは組長以上という名の売れた人物も多く、業界の重鎮が多いのもこのポストです。

他には、組長代行、副組長などのポストを置く事もあります。理事長、幹事長、これらに常任や副、補佐が付いたりする事もあります。こうなってくると現役の者でも訳が分らなくなるそうです。ある組では若頭の下に幹事長と理事長が同列で並び、その下に本部長となったり、ある組では若頭代行が二人いたり・・・。

最高幹部という場合、上位者一名を指す場合もありますが、おおむね執行部を指す事が多いようです。「山口組の最高幹部のある人物が・・・」というように。執行部候補として幹部職というポストもありますが、単なる若中や舎弟でなく何らかの肩書きが付いている者らを総称して幹部と表現する事が一般です。

つまりヒラの若中やヒラの舎弟で置いていては箔が付かないので、適当なポストを新設すると言う事もあるようです。一般の会社で、上位の役職が都合よく空かない時に、部長代理など適当なポストを新設するのに似ています。

 ピラミッド構成について