岡山県玉野市で発砲事件 二人が負傷 

岡山県玉野市築港で六代目山口組系三代目熊本組の二人が拳銃で撃たれ負傷したようです。
三代目熊本組は歴史も古く、山口組においては初代の熊本親組長が地道組々長・地道行雄の舎弟になり、その後田岡一雄の直参へと昇格しています。一和会との分裂時には竹中正久の舎弟として四代目山口組に残りましたが、山一抗争中に引退し白川孝郎が二代目熊本組を襲名しました。そして平成19年に白川組長が亡くなった後藤原健治が三代目熊本組を襲名し現在に至ります。
今回撃たれた者は三代目熊本組傘下の二代目藤健興業の組員と見られていますが、藤健興業は現在の三代目熊本組々長・藤原健治が熊本組内に創設した組織です。

今の山口組は抗争厳禁を内外に打ち出しており、組織的な抗争に突入する事はないと思いますが、突発的なケンカがなくなる事はありません。神戸の本家の執行部が紳士的な方針を掲げたところで、三次や四次に所属する組員はやはりヤクザで、出会いがしらのケンカは常に起こり続けるはずです。
また拳銃については多くの者が普段持ち歩いてはいません。使わなくても持っているだけでも罪が重く刑期も長いため割に合わないと考えているからです。
ところがヤクザ全員がそう理性的に考えている訳ではありません。このご時勢でも常に拳銃を身に着けている少数派もいます。長期刑に服す事や損得勘定抜きにヤクザとしての成り行き上、場面によっては弾く事もいとわないと考える者もいます。そういう点が一般人の思考回路とはかなりかけ離れたヤクザ原理主義者の思考です。

今回の件も背景は見えてきませんが、成り行きでその場で至近距離から撃たれたようで、拳銃も携帯していたのだろうと考えられます。また地域柄同じ熊本組系列同士の可能性もあります。
やられたらやり返すというのがヤクザの伝統ですが、報復行動には上部団体から強い制限がかけられますので、最近は先にやった者勝ちという印象を受けます。背景に小競り合いや交渉があったとしても、音が鳴ったらハイそれまでと言うのが今の風潮です。

http://www.sankei.com/west/news/150523/wst1505230021-n1.html

※事件の続報
事件当日、岡山県警は二人のうち渡辺正直を殺人未遂の容疑で逮捕し、森西俊弘を同じ容疑で指名手配し5月26日に逮捕した。二人とも年齢は60代という事だが、元々は熊本組にいた人物で現在は組を離れているという。
破門や除籍で組を離れる高齢のヤクザは、割と根っからのヤクザ者が多い。今の完全管理されたような山口組の体制に馴染めないという古いヤクザも実に多い。また実際にそういう気持ちから組を離れていく者も多い。昭和平成と本当の意味でのヤクザ同士の抗争を身をもって経験し、年季を積んだ評価の高い者も意外と今では組内に居場所がなかったりもする。
組を出た者が現役に銃を向けるという今回の事件は、ある意味でこれからのヤクザ社会を象徴しているのかもしれない。