弘道会が取るべきケジメと神戸山口組の覚悟

山口組の分裂騒動において連日のマスコミ報道でも新たな進展は伝わってこない。マスコミも報道するようなネタもないせいか最近落ち着いてきた。

世間の関心は分裂の原因や今後抗争へ発展するのかどうか。あるいは市民がそれに巻き込まれる事はないのかといった事で、それについてのコメンテーターの発言も根本的な所に触れるような発言はなかった。

もちろん時間の制約があるテレビなどで、今回の騒動を分りやすく伝える事はほぼ不可能だろう。そのため「金と人事への不満」などと大雑把にまとめられてしまう。

さて今回の騒動、六代目山口組の方には大きな動きはない。特に末端の方ではあまり危機感を持っていないようだ。もっと言うと当事者意識が薄いように思う。
山一抗争のように歴史的に見ても、出て行った方が分が悪く、局所的に衝突が起こっても時間が経てば本流である六代目山口組が残るものだと楽観視しているように見える。

具体的な意見として、司組長から高山若頭の弘道会ラインのやり方に反発して、このような事態になったのだから、原因があるとすれば弘道会という事になる。だから脱退していった者達には弘道会が率先してケジメを付けるべきだという見方がある。今回の件にきっちりケジメを付けられないようでは、絶縁状を出したメンツが潰れてしまう。また神戸山口組をそのままにしておくような事では、今後も離脱者が増え大阪山口組など亜流を興す事になるかもしれない。

自分が気になるのは、六代目山口組に残っている二次団体以下の傘下団体は強い意志を持って残っているかどうかという点だ。今の六代目山口組の中心団体である弘道会を本心から支持し、反旗を翻した神戸山口組を殲滅すべく、自ら陣頭指揮を執ろうとする者がいるのだろうか。
六代目山口組を出るという具体的行動を起こさなくとも、現在の弘道会が主導する体制に不満を抱える者は現実に多数いる。今までの流れの中に身を置いているに過ぎず、明確な意思を持って六代目体制に残っているとは言えないのではないだろうか。
これに対して神戸山口組に集結した団体は、強烈な意志を持って集ったに違いない。山一抗争の経験則を持ち出すまでもなく、自らの生命を賭す覚悟がなければこういう事は出来るはずがないのだ。
神戸山口組にしても六代目山口組と全面抗争するようなことは望んでいないだろう。しかし希望的観測でいるはずがない。あらゆる展開を覚悟した上での事だと思う。
そういう面では神戸山口組が持つ自覚と緊張感は、六代目山口組を大きく上回っているように感じる。単純に山一抗争を引き合いに出し、今の神戸山口組と当時の一和会を同一視することは出来ない。

一和会と分裂し山一抗争を起こした当時の四代目山口組は竹中正久を強烈に支持する者達だった。多くの古参が一和会へと流れた事で、四代目山口組執行部には多くの若手が起用され活気があった。竹中が暗殺された後、どこがヤマヒロを仕留めるのかというそれぞれの競争心が組内の活気に拍車をかけた。

過去の山口組と一和会の分裂と今回の事は、もちろん共通点も多くあるが根本的な性質が異なる。過去の歴史と照らし合わせるだけではこの先の展開は見えてこない。