先日の定例会で司組長からの通達が手紙として直参組長全員に配られたとマスコミが伝えている。
この手紙や内容については本物か偽物なのか、今後も分らないだろう。仮に本物だとしても、まさか外部に漏れる事がないと安易に考えて配られた訳ではない。もし本物だとしても、もちろん文字にして配る以上は外部に漏れる事も想定して配られたはずだ。だから内部文書といっても、外部に漏れてまずい事は何も書かれていない。文面についてもやはり天下の山口組の組長だけあって、この局面にも落ち着いた慎重な内容となっている。本物だと仮定すればの話だが・・・。
ここに全文を上げる事はしないが、読んだところで大企業の社訓のように抽象的で理念的な内容となっていて、警察やマスコミまたは一般人が期待する刺激的な部分はまるでない。具体的に何ら指示は出されておらず、文字通りに普通に読めばつまらない内容とも言える。
ただし、メッセージを出した者もまたそれを受け取った者も極道だ。しかもこの非常事態である。受け取った者で普通に文字だけを読む者はいないだろう。
話は少しだけそれるが、過去山口組では本家から抗争開始を通達した事はないが、抗争の中断を通達した事はある。山波抗争時に大阪の住之江区で一般人が誤認され射殺された事があった。この時の抗争中止命令は本家通達にも関わらず、通達後も何度か音が鳴りその度に再々通達が重ねられた。
つまりこれは攻撃してはいけない場合、はっきりと通達が出ると解釈できる。
またこの時は、本家からの命令として抗争の一時中止を通達したのだが、その後再開にあたっては通達を出す事によって教唆に当たるのではないかと当然の理屈になり、改めて抗争再開を通達される事はなかった。
ヤクザは組織としてはおろか個人としても抗争に限らず、教唆や共同正犯などには常に細心の注意を払っているのが普通だ。殺ってこい行ってこいと命令するケースの方が極めて珍しい。それとは逆にやってはいけない事については厳格に禁止している。山口組でも内部抗争厳禁は明確に通達されている。
仮に組織のため組のメンツのためと、個人の意志を離れてヤクザとしての行動を起こす者は、上からの指示などまず受けない。組長や上位者の意を汲みとって自発的に行動を起こす。
今回の手紙については、直参以外の下部団体の者でもその真贋を最終判断できる者はいないだろう。かといって今の状況下において手紙の内容を甘く読み取る者もいないだろう。文面から読み取れるのは、新団体を認めるとも認めないとも書いていないが、六代目組長が離脱者に対し明らかに不快感を持っている事だ。軽挙妄動を慎めという言葉はあるが、肝心な事には当然触れていない。はっきりと書いてあるのは、男としての神髄を究めることを希望する。前向きに歩むことを望む。という言葉だ。どう読み取るかは読んだ者が決めればいい。ただしこれらの言葉をヤクザ的に捉えると、何やら危険な空気になってくる。