分裂騒動と下部団体の動揺

日本最大の構成員数を抱える山口組には膨大な構成員がいる。
しかしその中でも司忍組長から直盃を受けた直参と呼ばれる者は極僅かしかいない。この度脱退した直参は規模に差はあるが、それぞれ自ら二次団体を率いる一家の長だ。それら二次団体の構成員にとって今回の件は、寝耳に水のように感じている者もいれば、来る時が来たかと腹を決める者、上手く勝ち馬に乗ろうとする者色々あると思う。

これまでの本家における高山政権と言われる弘道会中心の体制について、山口組内に多くの不満が溜まっている事は、承知の事実ではあるが、山口組本流といわれる山健組が実際に割って出るということは考えにくかった。

過去に山口組は、四代目発足時に一和会と勢力を二分し大きな抗争を経験しているが、当時を冷静に振り返ると一和会には全国的に名を馳せた古参を中心とした有名組長が揃い、数の上でも一和会が優勢だと見られていた。一和会とて当初は抗争は望まず、自分達こそが三代目田岡の遺志を守っていく正当な団体だと主張した。またいざ抗争となれば四代目山口組と十分に渡り合えると考えていた。

その、当初優勢とされた一和会でさえ、山一抗争で四代目山口組の組長と若頭のタマ殺りに成功しながらも山口組によって壊滅された。

今回山口組を脱退した二次団体の構成員や末端の者らの中には、山口組を出てやっていけるのかと不安に思う者も多くいるという。

山健組においても山口組にあってこその山健組であり、山口組を離れては将来的に存続自体危ういのではと末端組員らが考えるのもまた当然の考えだ。

四代目山健組内において脱退は、その構成員全体の一致した総意ではない。山健組が山口組を離脱するなら個人的に山健組を離れ、山口組の系列組織に移籍したいと考える者もいる。

もう一つの考えとして、今のヤクザ社会に嫌気が差していたので堅気になるちょうどいい機会だと、ヤクザに見切りを付けようとする者もいる。末端といえど個人それぞれに複雑な人間関係がある。三次団体でも四次団体でも若い者がいれば、その者達の将来を考えてやるのも上に立つ者の責任だ。そう簡単に判断できない部分もある。